2001年に相原先生がアロマセラピストとして関西医科大学心療内科学講座に入局してから、今年でほぼ四半世紀が経ちました。臨床アロマセラピーの実践と教育の場として大学近くにワンルームマンションを借り、2002年から研究の一貫としてスタートしたアロマセラピストの養成スクールも、現在ホリスティックケアプロフェッショナルスクールとして、臨床現場で活躍できるアロマセラピストを輩出し続けています。そして、その卒業生達がさらなる研鑽とネットワーク作りができるように、日本臨床アロマセラピスト協会(JCAA)が今から10年前の2015年4月1日に誕生いたしました。
その後、統合医療の広がりと共にアロマセラピーも、少しずつ医療や介護の領域でも補完代替療法として注目されるようになり、実際の臨床現場でもアロマセラピーを実践したり研究したりする医療従事者が徐々に増えつつあります。特にコロナ禍以降の世の中の大きな変化とともに、医療の世界でも従来の価値観や考え方への疑問からホリスティックな統合医療へとパラダイムシフトが起こり始めています。
このような大きな変化の中で、臨床アロマセラピストとして変わらない基本的な役割は、それぞれの人生のナラティブに寄り添いながら、健康力を高め自己実現していくための「安全・安心」を提供することです。その鍵となるのが、ポリヴェーガル理論における「腹側迷走神経複合体」の働きであり、精油とオイルマッサージによる身心へのホリスティックな関わりは、その手段としてとても有効です。しかし、そのためには「セラピスト自身の存在自体が安全・安心の場であることが前提」となります。アロマセラピーに限らず、効果的なセラピーや治療は『関係性』が大切であり、五感+αを使ったセラピストによるアロマセラピーは、身体と心に同時に働きかけることで、生成AIにはできない「安全・安心」を創り出すことが可能となるのです。
今年で設立10周年という節目を迎えるJCAAは、これからも人々の治癒力を高め、健康の維持増進、また健康問題を抱えた人に対しての症状緩和やQOLの向上を目的に、臨床アロマセラピーの普及と実践の推進、アロマセラピーの臨床応用に関する研究の活性化を目指していきます。
日本臨床アロマセラピスト協会 代表理事 竹林直紀