2025年に設立10周年という節目を迎えた日本臨床アロマセラピスト協会(JCAA)は、新たなステージへと歩みを進めています。これまで本協会の活動を支えてくださった皆様に、あらためて心より感謝申し上げます。
近年、医療の進歩は目覚ましく、多くの疾患に対する診断・治療技術は大きく向上しました。しかしその一方で、慢性疾患や機能性疾患、ストレス関連疾患など、従来の生物医学モデルだけでは十分に対応しきれない健康問題が増加しています。また、検査や数値では捉えきれない「不調」や「生きづらさ」を抱える人も少なくありません。
こうした背景から、身体・心理・社会的側面を含めて人を全体として捉えるホリスティックな視点の重要性が、あらためて認識されつつあります。部分的な最適化の積み重ねではなく、全体を俯瞰し、その人がその人らしく生きることを支えるケアへの転換が求められていると言えるでしょう。
臨床アロマセラピーは、精油の香りとタッチケアを通じて自律神経系や情動に働きかけ、「安全・安心」の感覚を回復させることで、人が本来持っている回復力や自己調整力を引き出すケアです。ポリヴェーガル理論においても示されているように、人が安全・安心を感じることは健康の基盤であり、その回復は現代のケアにおいて重要な意味を持ちます。
また、その「安全・安心」は技術のみで生まれるものではなく、セラピストと対象者との関係性、そしてセラピスト自身の在り方によって大きく左右されます。AIやデジタル技術が急速に進展する時代においてこそ、人と人との直接的な関わりの中で生まれるケアの価値は、今後さらに高まっていくことでしょう。
臨床アロマセラピストの役割は、単なる技術提供にとどまらず、その人の人生のナラティブに寄り添いながら、「自分らしく生きる力」を支える場を創り出すことにあります。
JCAAはこれからも、臨床アロマセラピーの実践・教育・研究の発展を通じて、その専門性を高めるとともに、これからの時代に求められる新しいケアのあり方を社会に提示していきます。
次の10年に向けて、共に歩んでいこうではありませんか。
日本臨床アロマセラピスト協会 代表理事 竹林直紀