3年以上にも及んだコロナ禍も、5類指定感染症となったことで、日本でもようやく社会的にも終息に向かい始めました。
本来、五感を使った社会的交流を行い、安心・安全を確認してきた人類にとって、「目に見えないウィルスという敵」が出現したと思い込んでしまった結果、
マスク・消毒・自粛・隔離によりウィルスから逃げようとし、遺伝子ワクチンでウィルスと闘おうとしました。
また、何とか敵を見つけようと過剰な検査を繰り返したことで、見えなければ何も感じなかった不安や恐怖をさらに強く感じ、
心身ともにフリーズしてしまったのです。
今回の総会テーマである『Be happy ~幸せになるエッセンス~』は、このコロナ禍でフリーズした状態を終わらせるために非常に重要なポイントとなります。
精神生理学者ポージェス博士により提唱された『ポリヴェーガル理論』では、自律神経をその働きから「交感神経」「腹側迷走神経」「背側迷走神経」の3つに分類し、
安心・安全や危険などを本能レベルで瞬時に判断し行動する役割を担っているとしています。
コロナ禍で人類が体験したフリーズ状態は、この中の「背側迷走神経」の働きであり、生命の危機的状況下で身を守るための反応でした。
自然界では短時間で終わるフリーズ状態は、人間社会においてはしばしば長期化した「トラウマ反応」として問題になります。
ポージェス博士の妻でもあるオキシトシン研究の第一人者カーター博士は、トラウマ反応としての背側迷走神経の働きにオキシトシン分泌を伴うことで、
授乳やハグなどのように「幸せを感じる不動状態」になると述べています。
コロナ禍が終わったこれからは、このフリーズ状態をリセットしていく時期であり、そのために臨床アロマセラピストが果たす役割は非常に大きくなるでしょう。
精油とタッチを用いたホリスティックケアで、多くの人がポストコロナの新しい時代に向けて、再び歩み始めることができることを願っています。
日本臨床アロマセラピスト協会 代表理事 竹林直紀